2006年4月
永平寺口駅に初めて訪れたのは、1990年代前半だ。まだ京福電気鉄道時代で、分岐していた永平寺線が健在で、東古市駅と呼ばれていた頃だった。
そして桜の花咲く2006年4月、2回目の訪問を果たした。永平寺線はとうに廃止となっていた。しかし、永平寺への鉄路は途切れても、線名は越前本線から勝山永平寺線へ、東古市という駅名は永平寺口駅へと、永平寺への参詣鉄道をアピールした名称に改名されていた。そして何より、経営が京福電鉄から第3セクター鉄道のえちぜん鉄道へと移管されていた。
何かと変遷しても駅開業の大正3年築の洋風木造駅舎は健在だった。その古き駅舎の出入口と反対側の裏側に、池庭があるのに気付いた。
金魚が中にいて猫から守るためか、竹を組んだ蓋のようなもので覆われいるのがいかにも日本庭園らしい風情だ。そして池の中央あたりに灯篭を模した照明を兼ねた給水ポンプもあった。
2008年10月
約2年後、夜に訪れてみた。照明が暖かに池を照らし、昼間とはまた違ったムード溢れる雰囲気に。
2014年11月
そして6年振りに訪れると…
池はとうとう枯れてしまっていた。
2014年の4月でレトロな洋風木造駅舎は使用停止となり、線路を隔てた反対側に新駅舎が竣工し、駅の機能はそちらに移転した。幸いにも、旧駅舎は地域の交流施設として保存・再利用される事になった。しかし、池は管理する人がいなくなってしまったせいだろうか…。夜の闇の中、灯篭に照らされ闇夜の中に鈍く浮かび上がる様が、ただ懐かしく思い出された。
池の奥の方に、灯篭があるのに気付いた。よく見ると、廃材や石をコンクリートで固めて作った灯篭もどきと言った感じのものだ。でも、駅員さん工務関連の部署の方が、池のよりムードあるものにするため、廃材を工夫して作った灯篭なのだろう。
(福井県吉田郡永平寺町)
永平寺口駅訪問ノート
レールを隔て反対側、西南側に建てられた新駅舎は、旧駅舎のイメージを採り入れた洋風デザインになった。そして、周囲にはロータリーが整備されるなど、旧駅舎時代とは見違える現代的な雰囲気の駅に。しかし、北側には同社の起源となる京都電燈時代からのレンガ造りの建築物・旧京都電燈古市変電所が残されるなど、旧駅舎も含め、古いものと新しいものが混在した駅風景が印象的だ。
永平寺口駅旧駅舎と旧京都電燈古市変電所は、2011年に国の登録有形文化財に指定された。
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